オタク女子。
まだ想いも伝えてない。
でもいつかは伝えようと決めていた。当然この歳になれば結婚も視野に入っている。
……自分のために仕事を辞めてくれとは言えなかった。
「………ありがとう」
出たのは喉から絞り出すような声だった。佐智子はそれにひかるに似た笑顔で返した。
「………なんとかバレずに済んだねーー良かった良かった。いや、良かったのか?誤魔化しちゃって……」
帰りのタクシーの中で私はひかるに問うてしまった。
辺りはすっかり暗い。夜景が次々と後ろへと去っていく。夜ご飯はお寿司までご馳走になってしまった。腹一杯で満足だ。
「………お前が気にすることじゃない。今日はありがとな」
「絶対奢ってよね!最近できたイタリアンが気になってるからデザート付きでよろしく」
「ああ」