オタク女子。

***

「………おはよう」
「おはよう。なんだ? 目の下のクマ凄いことになってるけど」
「……夜更かしし過ぎた」


案の定、影響が出てしまった。
クマが出やすいタチなのだ。コンシーラーで隠してきたはずなんだけどひかるに対しては効果はなかったようだ。


「中学生かよ!どうせ深夜アニメでも見てたんだろ?」
「夜窓プリンス!第二期を少しね………」
「夜窓プリンス? なんだそりゃ」


見てないけどね。
こういうときは言い訳がしやすくてオタクで良かったと思う。私はパソコンを立ち上げながらだれる。

「ねぇ、今日なんもなかったよね?仮眠とっていい?このままじゃマジでヤバイわ」

「何もなくはないだろ。あ、さっき浅野さんがさつきのこと探してたぜ。なんだっけ、研修?だとか言ってたな。どっか行くのか?」

「さあ……サンキュー……」


頭が大しては働いてなかった私は適当に返事をした。でも浅野さんと会うならば戦闘体勢で行かねばならない。私は気合いで目を見開いた。


「いざ!出陣!」
「訳わかんねぇこと言ってないで早く行けよ」


フラフラとフロアを出ていく私の後ろ姿をひかるが訝しげに見つめていた。






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