オタク女子。
そう言ってる間にも私たちは目的のイタリアンレストランに着いた。ひかるが怪訝そうな顔つきをする。
「………俺がこの店に入るのか?」
「当たり前よ」
そう。私が行きたかったのは女子に人気の流行りのイタリアンレストラン。内装もメニューも女子向けとなっている。さぞかしひかるには居心地が悪いだろう。
店内に入った私たちは窓際の景色の良い席に案内される。
「たまにはいいでしょ。気分転換」
「………たまには、な」
ひかるが落ち着かない様子で辺りを見回している。普通のサラリーマンは少数派で、女子ばかりだ。ひかるの苦々しい顔を見てしてやったりの気分だ。
「じゃあ、私マルゲリータにしよ。ひかるは?」
「………カルボナーラ」
「意外と無難なのね」
「カルボナーラ好きなんだよ。悪いか?」