オタク女子。

ピロリン、ピロリン
電話の着信音。私はバッグからスマホをあさって取り出した。

「ん、なんだ? 誰から……」

___お母さん。
私が連絡見なかったから。

「どうした? 気にすることないぞ。出ろよ」
「あ……いや、……今はいいや。後でかけ直す」

表情を曇らせた私にひかるが容赦なく尋ねる。

「誰から?」
「……」

力強い視線が私に突き刺さる。耐えられずに視線を反らした。私が固まっている間にひかるはひょいと私のスマホを奪った。

「え、やめ……!?」
「……やっぱりな。お前母親避けてるだろ」

電源を付けて浮かび上がった不在着信の表示。隠したかったものを強引に暴かれて怒りが湧いた。

「ちょっと……返して」
「ずっと逃げるつもりなんだ?」
「アンタには関係ない。人の家のことにちょっかい出さないでよ」

ひかるがスマホを私に返す。
それをひったくるようにして奪い取った。
……こんなことするような人だとは思ってなかった。

裏切られたような気がした。

「……」

怒りで黙った私は財布から2000円を取り出し、机に叩き付けた。そのままバッグを持って立ち去ろうとする。

「おい待てよ」
「それで足りるでしょ。お釣りはいらないから」







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