Gossip Church
煉瓦の家々が並ぶ道を通り抜け、大通りへと出る。
大通りまで来ると、少女の足はピタリと止まった。
「おはよっおばさん。今日も花、安くしてくれる?」
少女が止まった先に、花屋があった。
そこで花を紙で包んでいたおばさんが少女の声にきずき、顔を上げる。
「あぁ、リドリー、おはよう。今日も何、お墓参りかい?」
少女――リドリーの顔を見ながらおばさんは言う。
「うん!!昨日はお母さんのだったけど、今日は友達の」
「…そうかい。じゃあ今日は特別にタダであげようか」
「えぇっ!!いいの?」
驚いた顔でリドリーはおばさんを見る。
「ああ。その友達に持っていってあげな」
そう言って、おばさんは色とりどりのコスモスを手にとり、リドリーの手にそれを渡した。
「…っ!!ありがとうっおばさん!!本っ当いい人っ」
「あっはっは!おばさんはいつでも優しくていい人さっ!!」
おばさんは腰に手をあて、豪快に笑った。
「このご恩はいつか必ず返すねっ!!」
「なにいってんだい!そんなもんいいんだよっ」
パシッパシッとおばさんは自分のぽっちゃりしたお腹を叩く。
「そう?じゃあいっか」
リドリーの言葉に、さっきまで笑っていたおばさんが目を丸くした。
「あははっ。冗談だってば!冗談っ!
じゃあ、あたしもう行くねっ」
「ああ。きおつけて行くんだよ!」
(待っててね、メグ)
リドリーはおばさんから貰った花を大事に抱えて、友達が眠る墓地へと急いだ。