Gossip Church
「……………はぁ」
風で飛ばされてしまったコスモスを一生懸命にリドリーは探していた。
町から6時をつげるチャイムが鳴り、母と子供が仲良く手を繋いで、家へと帰って行く姿が見える。
「あぁ……。こんなことになるなら、花もう一つ買えば良かった……馬鹿じゃん、あたし」
そんなことを言っても、花は見つからない。
「もう暗くなってきたし、花は又明日買えばいっか………」
本当はまだ探していたいところだが、
夜になると町の近くにいる魔物が凶暴化する為、夜は出歩けないのだ。
「ごめんね、メグ。
明日新しい花買ってくるからさ」
と、メグの墓に手を触れた瞬間、
辺りは真っ暗になった。
深い深い、漆黒の闇。
「えっ!!」
自分の声以外の音は全てかき消され、
吹いていた冷たい風も、夕焼け空も、墓地も無かった。
あるのは黒よりも深い闇だけ。
「何……これ……」
自分の体はちゃんと見えるのだが、その他は闇。
一瞬自分がおかしくなったのかと思った。
こんなことは現実的に有り得ない。
有り得ないのだが、実際に目の当たりにしている。
頭の中には、怖いという言葉で埋め尽くされていた。