Gossip Church





「……………はぁ」



風で飛ばされてしまったコスモスを一生懸命にリドリーは探していた。


町から6時をつげるチャイムが鳴り、母と子供が仲良く手を繋いで、家へと帰って行く姿が見える。

「あぁ……。こんなことになるなら、花もう一つ買えば良かった……馬鹿じゃん、あたし」


そんなことを言っても、花は見つからない。


「もう暗くなってきたし、花は又明日買えばいっか………」


本当はまだ探していたいところだが、
夜になると町の近くにいる魔物が凶暴化する為、夜は出歩けないのだ。




「ごめんね、メグ。
明日新しい花買ってくるからさ」




と、メグの墓に手を触れた瞬間、
辺りは真っ暗になった。



深い深い、漆黒の闇。


「えっ!!」




自分の声以外の音は全てかき消され、
吹いていた冷たい風も、夕焼け空も、墓地も無かった。



あるのは黒よりも深い闇だけ。




「何……これ……」




自分の体はちゃんと見えるのだが、その他は闇。

一瞬自分がおかしくなったのかと思った。
こんなことは現実的に有り得ない。

有り得ないのだが、実際に目の当たりにしている。






頭の中には、怖いという言葉で埋め尽くされていた。





< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop