涙色。

遠くから聞こえる廊下のざわつきが消え、教室には先生と私だけの空気が流れる。

先生は私を抱き上げると、教卓の上に腰掛けさせた。


…これは、どういうこと…?


背の高い先生と同じ目線になる。


…ドクン


「西山…りい…」


先生はそうつぶやくと、私の頭に手をまわし顔を近づける。


顔が、唇が、近づいていく。


…ドクン

う。


今までとはちがう脈がうつ。

先生の手が頭の後ろから、首筋を通り、ほほにくる。


「はぁ…」


しんどい。


息が荒くなって目頭が熱くなってくる。

ドクドクと気持ちの悪い鼓動が速くなり、全身に伝わっていく。


「…うぅ」

ひとすじの涙が流れる。

もう、限界だ。

耐えられない。

先生は、唇を首筋からほほへと伝わす。

でも目は私の唇を見ている。


「…はぁ…うっ…。」


どんどん体の力がぬけて、息が荒くなり、涙が止まらない。

そろそろ、やばい。

倒れる。
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