涙色。
校舎の裏側の誰も入らないようなところにきた。
「大…丈夫?」
黒崎が優しく聞いてくる。
「…うん。…ありがと。」
今にも消え入りそうな声でこたえる。
「西山さ、あぁいうの慣れてるんじゃないの?」
「…慣れてるもん。」
少しムキになった。
「じゃあ、どうして…泣いてんの?」
黒崎はずっと優しく聞いてくる。
私は下を向いていた顔を上げて黒崎の目を見る。
黒崎は穏やかな顔をして、私の頭をなでた。
そして足元から頭まで、先生に乱された制服を見ている。
最悪。
息が荒れて、涙でボロボロ…。
私のキャラじゃない。
『そんなに派手なのに…』とか、絶対思ってるじゃん。
「先生のこと、好きなんだ?」
黒崎が確かめるように聞いてくる。
「…」
好きかどうかもわかんないよ。
こたえ…られないよ。
たくさんの思いがこもって、涙が溢れてきた。
なんでかは分からない。
でも、止まらない。
そんな私を見て黒崎は少し驚いている。
そして、また頭をなでると
「…帰ろっか?」と聞いてくれた。
涙で声がでない私はコクリとうなずいた。
黒崎はゆっくりとそれ以上なにも聞かず家まで送ってくれた。
ただひとつ分かったのは、
黒崎は‘‘優しい人”だってこと。