涙色。

その日をきっかけに俺は髪を切った。

前よりも明るく積極的に人に話しかけた。

西山に好きになってもらえるように。

俺の努力もあって、前に比べてすごく友達が増えた。

誰にでも話しかけれるようになった。


けど、西山には話しかけられない。

西山を前にすると胸が痛くなって言葉が出なくなる。


そんな毎日が過ぎて5年生になった。

クラスが離れてしまって話しかけとけばよかったと後悔した。


5年生になって2ヵ月くらいたったとき。

いつものように隣のクラスの西山をのぞきに行く。

運のいいことに親友の陵河が西山と同じクラスだった。

陵河と話にいくのは口実で西山を見る。

いつも笑ってたくさんの女子の中心にいる。


…はずだった。


西山は1人うつむいて席から動かない。

…え?いじめ?

と思ったけど周りの女子は心配そうな顔してる。

いじめじゃない、のか。

何人かの女子が話しかけてはいたけど、
西山は少しほほえむだけで何も話さず動きもしなかった。


どうしたんだろう。

心配と不安だけが心につもる。


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