涙色。

しっかりしてるってことは前から知ってた。

でもあんなに優しいなんて、知らなかったな。


昨日のことをふと思い出す。

黒崎が優しく頭をなでてくれたことを…。


自分で自分の頭に手をおいてみる。

なでてみる。

心がふわっと、でもどこかキュッとなる。

「…えへ…。」

つい思いだし笑い。

ならぬ思いだしニヤケをしてしまう。


私、きも!


すると横からの視線を感じた。

なんとなく、ゆっくり横を向く。

もしかして、黒崎かな。

と思いきや隣の席の安藤だった。

安藤は私を見てはいけないものを見たような顔をして見ている。


すごい顔…。

見られてた、か。

そうか。


最悪っ!!



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