涙色。
私の家はお父さんがいない。
浮気して、そのままいなくなった。
お父さんが帰ってこなくなったその日から、お母さんは気が狂ったように毎晩泣くようになった。
もう何年も経ったから、今はもうだいぶマシ。
でも、ほぼ毎日どこかをふらついている。
帰ってきても泣いてばっかりで、私の存在なんておかまいなしみたい。
私は誰よりもお父さんとお母さんが大好きだった。
だから、かなりその状況にショックを受けた。
学校に行っても、いつものようにはできなくて…。
話しかけられても、放心状態でいることが多くなった。
それまでたくさんいた友達も、1人、また1人と減っていった。
気づいたら孤独で。
お父さんもお母さんも友達も…
誰も私を見てくれない。
小5だった私にはいろいろつらすぎた。
学校に行くのがイヤになって、不登校になった。
平日の昼間はずっと近所をぶらぶらする。
でも、誰もいなくて面白くもなくて。
そして夜、家を抜け出したんだ。
夜の闇はすごく心地よかった。
昼間の明るい世界とは全く違った世界に惹かれた。
空の色が違えば、人間も違う。
危険な色をだす青年たちに手を引かれていく。
そして私は闇のとりこになった。
純粋だった私の心は、男と闇の欲で埋まっていく。
着飾って、メイクして、髪を染めて…
昼間は、おとなしく可哀想な悲劇のヒロイン。
太陽が沈めば妖艶な悪魔へと変わる。
そんな毎日