涙色。

授業が終わり、清掃時間になる。

掃除めんどくさー。

ほうきを適当にばしばししてると肩をたたかれる。

「はーい。」

適当に返事をすると、そこにいたのは黒崎だった。


あ、黒崎…。

少し嬉しくなる。


「昨日、大丈夫だった?」

「へ?…あ、昨日。うん。あ、うん。大丈夫だと思う。」


一瞬なんのことか分からず戸惑った。

黒崎は、はははっと笑い「思うって。」とずっとおかしそうに笑ってる。


あれ?

私、変なこと言ったかな?


でも、いいや。

黒崎が笑ってくれたし。


黒崎の笑顔は、少し幼くて本当に王子さまのようだった。

ずるいや。

こんなにもドキドキする。

最近なんか弱いな、私。

「じゃ、掃除しないと。」

黒崎は小走りで行ってしまう。


あ、行っちゃった。

もう少し話したかったな。

黒崎のその背中を

追いかけていきたくなった。

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