涙色。
*嘘~追憶~
中1の夏。
いつものメンバーで夜、コンビニでたむろっていた。
髪を染め、メイクや服で自分を着飾る。
奇抜な髪をして何人かたばこを吸う男子たち。
つけまつげで目がバサバサしている女子たち。
みんな高校生くらい。
こんな人ばかり9人でいる。
コンビニから出てきたサラリーマンたちは見て見ぬ振りをして反対方向へと歩いていく。
そりゃそうだと思う。
前の私なら同じことしてたから。
「あんさ、友達連れきていい?」
1人の男子が携帯をぷらぷらさせる。
「いいよー。」.
みんなが適当に返事をすると、そいつはどこかに行った。
しばらくたって帰ってくると、背の高い男の人が一緒にいた。
誰だろ?この人が友達?
「どもー、成宮です。」
少しふざけて言うと、慣れたように私たちの中に入ってきた。
わ、かっこい。
黒い髪にまっすぐな瞳は、
私たちみたいな人と同類だとは思えないほどだった。
それまで付き合ってた人は結構いたけれど、初めて感じる鼓動が全身に伝った。
じーっと見つめてしまう。
すると目が合ってしまった。
あ。やらかした!
焦る私をよそに楽しそうに笑いかける。
「へー、かわいい。」
ゆっくりと近づいてくる成宮さん。
「名前は?なんていうの?」
「え、えと。西山りい…です。」
ドキドキが全身に伝わって、少し声が震えてしまう。
そんな私をじっと見つめるまっすぐな瞳。
今すぐ倒れて救急車で運ばれそうだ。
たぶん、完璧に目はハート。
一瞬にして私の心臓は撃ち抜かれたんだ。
うん。
「髪、きれいだね。伸ばしてんの?」
成宮さんが私の髪を自分の指にひっかける。
「そうだね。…うん。」
変な返事をしてしまう。
だめだ、狂っちゃう。
いつもの私じゃない。
「俺さ、髪きれいで長い子超タイプなの。西山?だっけ、西山さんもっと髪のばしてよ?俺、好きになっちゃうかも。」
私の目をじっと見つめて真顔で語りかけてくる。
ドキドキする胸をおさえて、無理やりいつもの私らしくする。
「う、うそー。じゃあ…りい。成宮さん好みになっちゃおっかなー?」
笑顔でいつもの‘‘西山りい”らしく言う。
成宮さんは少し目を見開くとニッと笑った。
…ドキン。
「…いいね。でもさぁ、もう好きなっちゃった。」
え。
「顔かわいいし。声も。タイプだわー。」
え。
「話してる時も頑張っちゃってさ。超かわいい。」
え。
驚きワード連発で、目がテンになる。
え、何この人。
悪魔だな。
ホストだな。
かっこいいな。
「あの…。お、お世辞ありがとう。」
「へ?…俺がちで言ってるけど。」
成宮さんがまっすぐな瞳で見つめる。
困るよぉ…。
それに…。
展開はやいんですけどー!!