涙色。

*2人を照らす夕日


ーミーンミーン

7月の中旬。

蝉の鳴き声で目覚めるほど憂鬱な朝はない。

でも今日の朝は爽やかで気分はいい。

「学校だりぃー。」

文句を言いながらもちゃんと支度をする。

ーガチャ

玄関の扉が開いたと思うとお母さんが入ってきた。


「…おかえり。」

「…うん。」


そっけないな。

まぁ、いつものことだから慣れてるけど。


「どこ行ってたの?」

「そうね。…どこ行ってたのかな。」


ぽかんと何か考えてるお母さん。

これも、いつものこと。

前はもっとハキハキしてて何でもこなす自慢のお母さんだったのに。

私は濃いピンクのリュックを背負うと家を出た。

「いってきまーす。」

私の家から学校までは15分程度かな。

マンションを出て右にまっすぐ行けば着く。

結構距離あるけど、まっすぐだから近く感じる。

途中、横切る公園の時計を見ると8時12分だった。

やばい!

今日は黒崎が挨拶当番の日!

遅刻は避けたい!!

全速力で学校を目指し走っていった。



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