涙色。

「りいー!うち3組!りいどこ?」

真由子が後ろから抱きついてきて、ほっぺをすりすりしてくる。

「まだ見てないー」

「あれ??りいは4組だってー!」

真由子が嬉しそうに言う。

クラス替えの楽しみをとられてしまった…。

実は結構楽しみにしてた。

「真由子のバカ。先にゆわないでよ」

真由子を睨むと、負けずとドヤ顔を返してきた。

そんな真由子をおいて1人で教室に向かうと、

「りい、トイレ」

腕を後ろからいきなり掴まれて、玲子にトイレへ拉致られる。

「いきなり拉致るな!」

「ごめんー」

玲子は悪びれる様子もなくそう言うと、スクバからポーチをだして、私を鏡越しで見る。

玲子は黒髪のストレート。

背も169cmでモデル体型。

ただかなり冷たくてそっけない。

でも実は憧れだったりする。

玲子はポーチからビューラーを取り出すと、まつげをクイクイとあげていく。

次にマスカラをして、玲子のただでさえ大きな目が一層大きさを増す。

「りい」

玲子は私を呼びながら、あごを少し上に向けて「あんたもやれ」と命令する。

学校でメイクめんどくさいー

そう思いながらも私もポーチをだすと簡単に済ませた。

「終わったー」

帰ろうとする私を玲子は呼び止める。

「じっとして、目を閉じて」

私は目を閉じると、瞼に冷たい何かが触れた。

「かわいー。それいいと思う。」

玲子はニタっと笑った。

鏡を見てみると、目頭から目尻まで綺麗に黒のラインがひかれていた。

…かわいい…。

と思ったけど、素直には言わない。

「まぁ、いいんじゃない…?」

そう少し笑ってトイレを出た。
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