涙色。

ほら、こんなにも優しい。

黒崎は私みたいな人にはもったいないよ。


うん。

そうだね。


自分のことしか考えないわがままは、もうだめだ。

黒崎は私じゃないほうが幸せになれるよ…。


きっと。


「ごめん。私ね、黒崎に迷惑かけられないや。黒崎のこと大切だけど、傷つけたくない」


言ってるうちに涙が流れた。

黒崎の目がかすかに潤んでいる。

眉間にしわを寄せて、弱気な顔の黒崎。


悪いことしたかな…。


でもね、これがお互い傷つかない最善策なんだよ。

そう思いながらも心の奥がキュッとなってもどかしい。


黒崎は「ふーっ」と息をはいて、いつもの笑顔になった。


「わかった。よし!じゃあ今からいつも通りな。気まずくなるのもなし。…俺が、つらくなる」


黒崎は平気を装って「へへっ」と笑っている。



胸がズキズキと痛む。


ごめん。

ごめんね、


黒崎…。



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