涙色。

あまり人のいない廊下の端まできた。


「西山さんさ、無理やり海斗くんに迫ったって本当?西山さん尻軽女のくせに、海斗くんを汚さないでよ。私、許せない」


何なの、ほんとに。

せまった?


「訳わかんないみたいな顔してさ!本当は分かってるんでしょ?記憶、あるんじゃないの?昨日の帰り道…」


あぁ。

わかった。

麻希は黒崎が好きで嫉妬してるのか。


「関係ないでしょ?あんたに」


上からきつめに言う。


「ど、どうせ、遊びでしょ!?」


麻希が投げやりになって言いたい放題している。


遊びなんかじゃないし…。

こいつに何が分かるっていうの?

私の気持ちなんて少しも知らないで…。


「私は、本気だよ。超本気!いちいち人の恋愛に首突っ込まないで」

「う、うっざ!でも、海斗くんは嫌がってるんじゃないの!?」

「…。黒崎と私は、両想いなんだよ。ほんとは…。きっと」


そう。

両想いなんだと思う。

些細なことでドキドキしたり、また話したいって思ったり、相手を想って断ったり。

こんなのは前までの私じゃ考えられない。

自分でも変わったなって思う。



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