涙色。

「わ、私!先に話していいかな?」

「いや、俺に言わせて?」

「ぁ…うん」


少し強引に黒崎が言った。


なんだろう…。

そわそわする。

心がざわついて仕方ない。


私はうつむいたまま黒崎をみれない。

ふったくせにつきまとうから怒ってるのかな…。



「…あのさ、俺らは何もないってことで。俺、ちゃんと諦めたし。だから、もう話すのやめよ」



痛みで押しつぶされそうだ。


こんな状況で好きなんて言える訳ないよ。

そうだよね。

普通そうなるよ。

自分のことふったくせに話しかけてこられたら腹立つよね。



甘えてた。

黒崎が優しいからって甘えてたんだ。

しんどい思いばかりさせて。


私、最悪だ。


鼻の奥がツーンとしてきて泣きそうになる。


ここで泣くなんてらしくない!

頭を上げると、思い切りほほえんだ。


「うん。わかった!話しかけないようにする」


精一杯の笑顔と嘘で答えた。



話しかけないとか、さみしいよ。




ズキズキして、苦しい。




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