涙色。
クラスメイトはみんな帰ってしまった。
ゆんも『やーらしー』とだけ言って帰ってしまった。
なんだろう。
とりあえず、めんどくさいことになっちゃったよ…。
入口に立っていた私は背面黒板の前に移動した。
先生は教卓から私を見ている。
4月のときと同じ状況…。
「…西山さん」
「…はい」
「黒崎と付き合ってるって聞いたんだけど、本当…ですか?」
な、
なぜ知っているのだ。
いや、付き合ってはないけどさ。
そういう噂、先生にまで流れてるなんて最悪…。
付き合ってないって言う?
でもこの先生めんどくさそうだから、付き合ってるって言ったほうがいいのかも…。
でも、嘘はだめだよね。
また黒崎に迷惑かけちゃうし。
「え、えっと」
「僕さ、君のこと好きなんだよ。教師なのにごめん。でも僕のこと好きなんだよね?もし付き合ってないならさ、内緒で付き合おうよ?…」
先生が一気に話すから頭が真っ白になる。
そうだ、この先生は大学卒業したばっかりで、自分が何言ってるのか分かってないのかな…。
だって今、『付き合おう』って言ったよね。
バカだな。
だめじゃん、先生…。
私は生徒なんだよ?
4月のときなら喜んで付き合ってる。
でも…今は違う。
私には黒崎がいる。
好きな人がいる。
「あの、先生」
ーガラガラ