涙色。
「西山さんっ。僕の何がいけない?こんなにも好きなんだ…。黒崎よりも幸せにできるよ?」
先生が私に近寄る。
ーギュッ
つないでいる黒崎の手に力が入った。
ちょっと、痛い…。
どうしたんだろ。
「…。俺が。俺が幸せにするんだ。もう泣かせたりしない。西山が誰よりも、好き…だから」
言葉につまりながらも先生を睨んで言っている。
嘘でも、うれしい。
黒崎はどうしてこんなに一生懸命になってくれるの?
私のこと嫌いなんでしょ?
優しすぎるよ…。
「…先生がそんなに必死になるほど、私はいい子じゃないです。私は今、誰よりも黒崎が大好きなんです…」
そうだ。
誰よりも黒崎が大好き。
うんうん。
…。
あ。
『黒崎が好き』って言っちゃった!
いきなり騒ぎだす心。
顔がどんどん熱くなる。
「…ってことで、じゃあ」
黒崎はそう言って私の手をひいて、校門に向かって走りだした。