涙色。
「待って!待って…ください」
やっと追いついた。
「…なに?」
冷たい言い方。
「えっと、」
ちゃんと言わないと。
好きだって。
でも、でも…。
やっぱり緊張するしドキドキする。
「あの、今日はありがとう」
「いや、別に」
『ありがとう』はそうなんだけど。
そこじゃない。
そこじゃないんだよ。
私が言いたいのは…。
「黒崎はさ、好きな人いないの?」
「…い、ないよ」
「…そっか」
少しショックを受ける西山さん。
でもこれは想定内だから。
くじけちゃだめだ。
「じゃ」とだけ言って黒崎は背を向けてまた歩き出す。
ずっとうじうじしてちゃだめだ。
今度こそちゃんと言わないと。
離れていく君の背中に大きな声で叫んだ。
涙まみれでぐちゃぐちゃに。
「私は、私は、好きなの。黒崎が好きなの!お願いだから…。私から、離れないで…」