涙色。
廊下には話し込んでいる女子が何人かいるくらいだった。
フラれちゃったけど、
やっぱり西山が好きだな…。
「あ、あの!海斗くんっ。ちゃっといいかな」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこにいたのは高月だった。
高月?
何だろう。
「?…どうした?」
「あのね、私ね海斗くんのこと…好きなの。付き合ってください…」
え!?
突然のことで胸がバクバクしてくる。
高月が。
俺を?
嘘だろ…。
高月は顔を真っ赤にして上目遣いで俺を見る。
…だめだって。
俺は女子の上目遣いに弱い。
どうしよう。
高月は弱虫なくせにいつも勝気で、たまに腹が立つ。
でもこんな顔は、反則だろ…。
「私なんかじゃ、だめかな?」
「な、なんかじゃない。高月はすげー…かわいいと、思う…から」
目の前の高月の顔はさらに赤くなった。
いつもなら断れるのに、西山にフラれた直後だから『好き』って言葉が身にしみる。