涙色。

西山のこと悪く言われて腹立ったのは確かだけど。


言い過ぎた。

つい止まらなくなってしまった。


高月はうつむいてしまったきり、顔を上げない。


「ごめん!ごめんな、言い過ぎた…」

ついつい癖で高月の頭をなでてしまう。

なぜか俺はいろんな人の頭をなでる。


高月はゆっくり顔を上げ、赤く頬を染めた。

目は涙目になっていた。


俺は最低だな。

泣かせてんじゃん…。


「ううん、私が言い過ぎました。ごめん。今度から気を付けるっ」

高月はニコリと優しく笑った。


さっきの勢いで『うるさいなぁ』とか言われると思ってたから意外な言葉にびっくりした。

案外、素直な子なのかな?


「おう」


もしかしたら本当はいい子なのかも。

ちょっとムキになっただけで…(?)


「あ、あと西山が俺に迫ったんじやないから。俺が告った。で、フラれた。そーゆーことだから。それ見たのって高月だけ?」

「そう…なんだ。うん、私しかいなかったよ」


そか、ならよかった。


「ありがと。じゃあな」


俺がそう言うと高月は手を大きく挙げて振りながら「ばいばい!」と言った。

俺も手を振り返す。



そしてその手をおろして見つめる。


高月の髪、柔らかかったな…。

少し茶色い自然な色でふわふわしたゆるいボブ。

目元は少したれ気味で本当に天使みたいだった。

いつもはめんどくさい女子って感じでしかなかったのに。


ギャップが激しすぎる…。

誰と話してたんだっけ?っていうくらい別人だった。












< 78 / 99 >

この作品をシェア

pagetop