涙色。
西山のこと悪く言われて腹立ったのは確かだけど。
言い過ぎた。
つい止まらなくなってしまった。
高月はうつむいてしまったきり、顔を上げない。
「ごめん!ごめんな、言い過ぎた…」
ついつい癖で高月の頭をなでてしまう。
なぜか俺はいろんな人の頭をなでる。
高月はゆっくり顔を上げ、赤く頬を染めた。
目は涙目になっていた。
俺は最低だな。
泣かせてんじゃん…。
「ううん、私が言い過ぎました。ごめん。今度から気を付けるっ」
高月はニコリと優しく笑った。
さっきの勢いで『うるさいなぁ』とか言われると思ってたから意外な言葉にびっくりした。
案外、素直な子なのかな?
「おう」
もしかしたら本当はいい子なのかも。
ちょっとムキになっただけで…(?)
「あ、あと西山が俺に迫ったんじやないから。俺が告った。で、フラれた。そーゆーことだから。それ見たのって高月だけ?」
「そう…なんだ。うん、私しかいなかったよ」
そか、ならよかった。
「ありがと。じゃあな」
俺がそう言うと高月は手を大きく挙げて振りながら「ばいばい!」と言った。
俺も手を振り返す。
そしてその手をおろして見つめる。
高月の髪、柔らかかったな…。
少し茶色い自然な色でふわふわしたゆるいボブ。
目元は少したれ気味で本当に天使みたいだった。
いつもはめんどくさい女子って感じでしかなかったのに。
ギャップが激しすぎる…。
誰と話してたんだっけ?っていうくらい別人だった。