涙色。
その次の日から西山をちゃんと諦めようと決心した。
でも、なぜかフラれたはずなのに西山はよく話しかけに来る。
いつもは嬉しくて話してたけど、彼女になった高月から『話さないで』と言われたら、そうするしかない。
話しかけられるたび、こたえたかったけど高月の目があって無理だった。
3人とも同じクラスって最悪…。
ある日、あの西山が珍しくノート配りを手伝っていた。
不思議に思っていると、机の上に置いといてくれればいいのに、廊下にまで渡しに来てくれた。
見るからに顔を赤らめて『はい、どうぞ』って…。
西山気づいてたかな?
声が、震えてた。
西山なりに頑張ってくれてんのかなって思うと、愛しく感じるのと同時に胸が痛くなる。
俺は『…ん』と返事するので精一杯だったけど、その一言にたくさんの思いがこもっていた。
冷たいって思われたなら、ちょっとさみしい。
陵河にも付き合うこと言ったら
『人に優しいのもいい加減にして自分を大切にしろ』
って怒られた。
…本気で怒られた。
陵河は見た目が厳ついから怒ると怖くて無理。
不良に絡まれたみじめな中年おやじの気分になる。
でもそれだけ友達思いのいいやつなんだと思う。
これからどうすっかな。
西山諦めきれんのかな。