涙色。

「待って…待って、ください」

少し遠くから声がする。


ードキ

そこにいたのは西山だ。


「…なに?」


俺を追いかけて…?


「え、えっと」


言うこと、まとまってなかったのかな。

かわいい…。


「あの、今日はありがとう」

「いや、別に」


あーー、もう!

俺のバカ野郎ー!

もっと話したい。

もっと普通に。


でもそれは高月を裏切ってしまう。


今はいないから…いいかな?

事情を説明して、分かってもらう?


「…黒崎はさ、好きな人いないの?」

「…い、ないよ」


違う!

本当はすっげー西山が好きだ!


「…そっか」


違うんだ。

俺は、好きなのに。

正直に言うか?

『俺は西山が好きだ』って。

でも高月を傷つけることは、できないしな…。


「…じゃ」


そうだな。


いままで通り、冷たくしなきゃだめなんだ。


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