涙色。
西山に背を向けて、もう一度歩き出す。
泣きそうだった。
何もかもつらくて、どうしていいか分からなくて、泣きそうだ。
「私は、私は、好きなの。黒崎が好きなの!お願いだから…。私から、離れないで」
振り返ると、涙でぐちゃぐちゃになった西山。
叫ぶように言っている。
胸にドキドキを通り越して痛いくらいに刺さる。
西山が、俺のこと…。
うれしくて、うれしくて。
西山が誰よりも好き。
自分の今を捨ててでも一緒にいたい。
「…ごめん。ごめんな、冷たくして。好きな人いないとか、嘘。俺は、西山が」
「違うよね?海斗くんっ。海斗くんが好きなのは私だよね」
俺の言葉を遮ったのは、高月だった。