涙色。
「オラオラオラー。行くぞ、りい!」
陵河が黒崎の首を腕にひっかけながら走ってきた。
「…ってーな。どこ行くんだよ?…西山も!?」
後ろから追いかけて走る私を見て驚いたように言う。
「ないしょーっ」
陵河はうるさく笑いながら、またスピードを上げる。
速い…。
もう、疲れた…。
私は立ち止まって息を整える。
「…はぁ、はぁ」
2人は少し先の角を曲がって見えなくなってしまった。
はやく、行かないと。
ーパタパタ
後ろから急いだ足音が聞こえる。
すごい嫌な予感…。
「ちょっと!?何してんの!?はぁ…はぁ…海斗くんをどこに連れてく気!?今日も明日も明後日もデートするんですぅ-!返してよ!」
走ってきたのか、息を切らしながらわめいている麻希。
明らかにイラついている。
答えたいけど、息が切れて話出せない。
「黙ってないで、何か言えば!?」
「…っ…そーやってさ、黒崎を縛るのやめたら?2人が、両想いなら、気持ちも分からなくはないけど…」
自分で言って自分で傷つく。
両想いか…。