涙色。

「…はぁっ…西山乗って」


さっきの角から誰か来たと思うと、目の前で黒崎が背中を向けてしゃがんでる。


もしかして、おんぶ?

だよね…。

これはもう乗るしかない?

でもさっきまで走ってたから疲れてるよね?

んー、重いしな。はっはっは。


「はやく!」

「あ、うん!」


ここはもう…甘えちゃえ!


勢いで背中につかまると黒崎は来た道をまた引き返して走っていく。

後ろを振り向くと、麻希はただ立ちすくんでいた。


「…ごめん。私、麻希にきついこと言ったかな。黒崎好きなんだよね、ごめん」


そうだ。

黒崎は麻希のこと好きなのに、

ひどいことしたな。


「いや、俺ははっきり言えなかったから。言ってくれて嬉しかった。…ありがと」

「…うん」


心が溶けそうになる。

言いようのないふわふわした気分。


ずっと、この時間が続いてほしい。


つかまっている首元をぎゅっと抱きしめる。

首元に顔をうめると、ほんのり甘い香りがした。


シャンプーの匂い…?

すごく落ち着く。









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