涙色。

3人で電車に揺られる。

何回も乗り継いでもう3時間くらい。


長い。

てかめっちゃ遠い。


建物がわんさかしてる駅から、どんどん家ばかりになってくる。

どこで降りるかは知らないけど、だいぶ田舎のほうに来た。

田舎って言っても、この辺はまだ静かな住宅街ってかんじだ。


でも家の数がどんどん減ってく。

どこまで行くんだろ…。


「…あ、そだ。泊まるって言っても、俺何も持ってきてねーけど…」


ひとつ空けて隣に座ってる黒崎が、3人以外乗ってないからってプラプラ歩いてる陵河に不安そうに聞く。


「大丈夫、大丈夫。朝、お前の母さんに電話して荷物送ってもらっった。

『息子さんを5日間拉致します!』って言ったら

『どうぞ連れてってあげてね~陵河くん』

だってよ!海斗の母さん…いい人だなぁ!」


目を輝かせる陵河とは裏腹に「母さん…」と嘆いてる黒崎。


なんかいいな、こうゆうの。


「だから母さん、俺に大金もたせたんか…。

『元気でねぇ』とか言うから、ついにボケだしたのかと思ってた…」

「…ふふっ」


かわいい。


「ははっ。…黒崎って意外と面白いんだ?」

「意外とってなんだよ?俺はもともと面白いし」


少しムキになる黒崎。

それを見てると何だかおかしくて笑いが止まらなくなる。


こうしてずっと3人で笑った。

最近は泣いてばかりだったから…、



今を大事にしたいってすごく思った。












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