涙色。
「着いたよぉー」
10分っていうのは絶対おかしい。
30分かかる結構な遠さ…。
蘭の指さした先に、1軒の家がある。
赤い屋根に白い壁。
まさに絵によく出てくる家だった。
思ってたより大きくはなかったけど、4人で泊まるには充分すぎる。
家の周りにはたくさんの花が咲いていて、浜風にふかれてゆれている。
めっちゃいいとこだ!
「はやく中に入りたい!」
待ちきれずうずうずしだした私を見て、蘭はあわてて鍵を開けた。
玄関から廊下があり、少し進むと右にトイレ、左にお風呂。
さらに奥に行くと、広いリビングとキッチンがある。
キッチンは広く大きく綺麗に片付けられ、カウンター型になっている。
そしてテレビの前には低めの大きいテーブル。
その周りをソファが囲っている。
全体的に白とオレンジ、木の色合いですっきりしている。
2階には、1つの広い部屋があって、もうすでに4つ布団が敷いていた。
…え?
「よ、4人一緒に寝るんすか?」
黒崎も私と同じこと思ったみたいで驚いている。
「そりゃそうだよー。並び方は、右から陵河・あたし・りい姉・海斗くんね!」
「…えっ、あ、それは…」
「なに?嫌?」
強気な蘭におされる黒崎。
かわいいなぁ、
「いや、男女で分けたほうが…。男子は1階で女子は2階みたいな!」
私も同じことを思い激しくうなずく。
けど、私の横で寝るの嫌なのかな?って考えもよぎってしまう。
今、忘れてたけど黒崎は麻希が好きだもんね…。
なんだか申し訳ないや。
「「男女別とかありえない!」」
陵河と蘭が声をそろえて言った。
「おい海斗。俺と蘭を引き離す気か!?」
「え?もしかして付き合ってんの?…陵河の彼女って…」
「蘭だけど?」
ここまで一緒にいたのに気付けなかった黒崎。
驚きで固まってしまっている。
「そーなのか…」
そんなことで騒いでいる間に、もう6時を過ぎていた。