フラワー・バレンタイン
第5話 探りあい
《水野亜季の探り》

午後6時。

オフィスには、まだ半分くらいが残ってる。

うちのシマはもう2人だけ。

課長も多分7時半には帰るはず。

向かいに座る河野クンは
ジーっと黙ってパソコン打ってる。

ちょっと探りを入れてみるか。

「あの…河野クン、まだかかりそう?」

ちょっと不自然だったかな?

彼ったらキョトンと
無防備な顔を向けてきた。

「ああ、まだまだ。
……えっとその、水野サンは?」

聞きながら
チラリと積まれた伝票を見て

「ああ、こりゃあだいぶかかるね。カワイソ」 

カラリと笑ったその顔が好き。

…あーあ。

私がこんな事考えてるなんて、
河野クンは
思ってもないんだろうな。

悔しいから、ちょっと応酬。

「お互いにね」

「ちぇっ」
< 14 / 26 >

この作品をシェア

pagetop