フラワー・バレンタイン
第6話 掛け合い
《河野正義の作戦》

よぉし、やっと
課長が帰って私語オッケー。

まずは和んだ空気を作り、
渡す流れの糸口を掴みたい。


「全く、課長も変なこと言うよなあ」

うーん、と俺は伸びをして
彼女の方をチラリと確認。

伝票の高さはほぼ1/4。

「…そ、そうだね…」

何か元気がなさそうな声。


あれ?
俺、何か不味い事言ったか?  
 
 
そのまま辺りはしんとして、
カタカタとパソコン打つのが響くだけ。


ヤバイぞ俺。
何だか緊張してきた。

心臓バクバクいってるし、
喉は渇いてカラッカラ。

俺は思わず席を立ち、

「あー、何か喉渇いた。
何か飲み物買ってこようかな。
…水野サンも、いる?」

すると彼女、困った顔で俺を見上げた。

…え?どうゆうことなの、その表情。

何故か再び気まずい空気。

結局俺はもう一度
座り直してパソコンカタカタ。

何をやってるんだ俺
相変わらずの優柔不断。

ああまずい。
彼女の伝票、もう1/5を切っている。

タイムリミットは


あとわずか。
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