そっと、きえていく
分かる気が、する。
現に今も、わたしはこんなに目を細めるほど、苦しい。
太陽に見放されるような感じがするからなのか、この思いは。


でも、そんなことを言ったら、今野さんが泣いてしまうような気がした。
落ち着いて考えればそんなわけないのに、絶対そうだ、と思い、わたしは頭をめぐらしてこんな考えをのべてみた。

「たしかに、寂しいかもしれません。でも、太陽の代わりにお月さまが出てきます。月が、わたしたちをちゃんと見ています」

「……つき?」
意外そうに、挑戦するような瞳で、今野さんはわたしをうかがう。
受けて立とうではないか、その挑戦。

「そうです。月って、太陽の光を反射してるんですよね? だったら、同じことです。わたしたちに見えるものの形が、少し違うだけです」

「オマエ……すごいな……」
スゴイのは、今野さんの方だと思う。
けど、確かにこの考えは自分でもイイなっ、てちょっと、思った。
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