そっと、きえていく
即興で言ってみたものの、今野さんもわたしもこの考えを気に入った。
「そういう考えがあるって、今まで思ってなかった」

この褒めよう。
わたしは、そんなに偉い人物じゃないけど、こんなに素敵な人に褒めてもらえるのは、嬉しいことだ。

「さっきさ、オマエ……言ったじゃん。死ぬのが、分かるか、って」
いきなり、話題が戻ってわたしはえっと声にもない声を出す。

「はは……そう、驚くな。俺……、茶濁すような言い方して、悪かった。オマエになら言えるかもしれない。……どうして、初めて会ったのにこんな話が出来るんだろうな」

わたしも思ってたことを、今野さんも感じていたんだ。
ちょっと、嬉しい。

「これは、信じられないかもしれないけど、本当の話だ。心して、聞けよ」
「へ……?」
「俺、わかるんだ。大切な人、そうでなくても、人がある日突然、この世から消えてしまうってことが。俺は……まだ、覚えているから」
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