そっと、きえていく
そういって、下駄箱へ元気に繰り出したとこまでは良かった。
いつも待ち合わせする下駄箱に、由実ちゃんはやってきたわけだけど、着くなりパシンと両手を小さな顔の前で合わして、
「ごめんっ! 何か、今日視聴覚室の掃除しなきゃいけないみたいで……。
加奈やんと瑞樹だけでも、先に行ってて」
由実ちゃんはわたしたちのグループでも一番派手でオシャレな、いかにも流行大好きって感じの子。
いつもは掃除をテキトーにサボっているのに、何で今日に限って……と思っていたら、
「いつもセンセーに怒られてて、今日は森下センセーの監視つきなの。もう、イヤだなぁ……」
由実ちゃんらしい、ホントに彼女らしい理由だった。
わたしが放課後つるむ子たちは、去年のクラスメートだ。
いつも集団で行動し、派手で時にはイジメもやった連中で(これにはわたしと加奈ちゃんは関与していない。由実ちゃんがリーダーでやっていた)、学年でもあのカケルくんグループ女子版、という感じでなかなか有名だ。
ただ、実際わたしはこのグループにいることに、心のどこかで気おくれというか、イヤな気持ちを感じている。
話していると、ホントに楽しいのは事実。
恥ずかしい話も、恋の話も、音楽の話も。
だけど、それと同じくらいの頻度で、誰かの悪口も耳にする。
「あの子、ヤンキーらしいよ」、「アイツ、おとなしそうに見えて、かなり性格悪いよ」、もっとそれ以上の、聞くに堪えない耳障りな噂や悪口を、毎日のようにどこからか仕入れてきては、聞いてもいないのにわたしたちに報告する。
噂の子や気に入らない子が前を通ったら、平気で、というかわざと、その話を大声で話したり、罵詈雑言を浴びせかけることもしばしば。
カケルくんたちが派手でお気楽な愉快犯系グループなのに対し、わたしたちは派手で他人の悪口を楽しむ、悪いグループだ。
加奈ちゃんもわたしも、2年になってからさらにエスカレートしたこの悪口に耐えかねて、何度かグループからの離脱を決意した。
だけど、それは恐くて実行できなかった。
いつも待ち合わせする下駄箱に、由実ちゃんはやってきたわけだけど、着くなりパシンと両手を小さな顔の前で合わして、
「ごめんっ! 何か、今日視聴覚室の掃除しなきゃいけないみたいで……。
加奈やんと瑞樹だけでも、先に行ってて」
由実ちゃんはわたしたちのグループでも一番派手でオシャレな、いかにも流行大好きって感じの子。
いつもは掃除をテキトーにサボっているのに、何で今日に限って……と思っていたら、
「いつもセンセーに怒られてて、今日は森下センセーの監視つきなの。もう、イヤだなぁ……」
由実ちゃんらしい、ホントに彼女らしい理由だった。
わたしが放課後つるむ子たちは、去年のクラスメートだ。
いつも集団で行動し、派手で時にはイジメもやった連中で(これにはわたしと加奈ちゃんは関与していない。由実ちゃんがリーダーでやっていた)、学年でもあのカケルくんグループ女子版、という感じでなかなか有名だ。
ただ、実際わたしはこのグループにいることに、心のどこかで気おくれというか、イヤな気持ちを感じている。
話していると、ホントに楽しいのは事実。
恥ずかしい話も、恋の話も、音楽の話も。
だけど、それと同じくらいの頻度で、誰かの悪口も耳にする。
「あの子、ヤンキーらしいよ」、「アイツ、おとなしそうに見えて、かなり性格悪いよ」、もっとそれ以上の、聞くに堪えない耳障りな噂や悪口を、毎日のようにどこからか仕入れてきては、聞いてもいないのにわたしたちに報告する。
噂の子や気に入らない子が前を通ったら、平気で、というかわざと、その話を大声で話したり、罵詈雑言を浴びせかけることもしばしば。
カケルくんたちが派手でお気楽な愉快犯系グループなのに対し、わたしたちは派手で他人の悪口を楽しむ、悪いグループだ。
加奈ちゃんもわたしも、2年になってからさらにエスカレートしたこの悪口に耐えかねて、何度かグループからの離脱を決意した。
だけど、それは恐くて実行できなかった。