そっと、きえていく
不安を口にすると、加奈ちゃんは大丈夫よ、と短く言った。
わたしがその声につられて顔を見上げると、彼女は不敵の笑みをうかべていた。

「あたし達は絶対、一緒なんだから。由実に少しぐらい何か言われたところで、困ることもないんじゃない?」

そうだ。
大切なのは、由実ちゃんというつながりの薄い子との、微妙な友好よりも、ずっと信頼しあってきた無二の親友との、友情だ。

「だよね! 一緒だったら、どんだけ辛くても乗り越えられそうだもんね! 今日、クラスで一人で苦しかったけど、こうやって加奈ちゃんと会えたら嬉しいもん。イヤな気分も吹き飛んじゃったよ」

95%、本当。
残り5%、強がり。

少しの嘘もあったけど、大きな本当に包まれて、先っぽしか現れていなかった。
加奈ちゃんという、かけがえのない存在に包まれて。
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