その声がききたくて
中3の夏。
まさに受験期真っ最中だった。
「よーし。じゃあ、今日は終わりにすっか。」
先生はペンを置いた。
「ありがとうございました〜。」
その日も普通に塾から帰る…はずだった。
「うそ…雨降ってる…傘ないよ」
私のそんな一言も雨の音でかき消される。
私はいつもの帰り道の途中にある神社で雨宿りすることにした。
「少し濡れちゃったなぁ…教科書大丈夫かな。」
「…にゃぁ…」
にゃぁ?
その場を見渡すと黒い猫がダンボールの中に入っていた。
「かわいそうに…君もひとりぼっち?」
そんなことを呟いたのはなぜだかわからない。
自然と口からでていた。
私はそっと猫を抱き抱えた。
「よ〜しよしよし。いいこだね〜。」
「ズシャッー」