恋の後味はとびきり甘く
「鈴音さん、好きです」
「わ、私も……涼介くんのことが……好き」

 胸の中にずっとあった彼への想いを言葉にした。涼介くんの唇が首筋に触れて、背筋がビクッと震えた。彼の手がブラウスのボタンにかかり、ひとつ、ふたつと外されていく。

 ブラウスの前をはだけられそうになって、私は反射的に彼の肘を掴んだ。

「あのっ」

 涼介くんが動きを止め、熱っぽい表情でわずかに目を細めた。

 どうしよう。こんなところで止めるなんて、なんてことをしてしまったんだろう。でもでも、やっぱり初めてだって言った方がいいよね? だって、初めては痛いって聞くし、なにより涼介くんが私のことを経験豊富な大人の女だと思ってたら……?

 幻滅されないように切り出すにはどうすればいいんだろう。迷って泣きそうになりながら彼を見上げたら、涼介くんが私の髪を梳くようにして頭をなでた。

「ベッドの方がいいですか?」

 こくん、とうなずいた直後、額にチュッとキスが落とされたかと思うと、次の瞬間にはふわりと両腕で抱き上げられていた。
< 101 / 166 >

この作品をシェア

pagetop