恋の後味はとびきり甘く
「きゃ」

 思わず声を上げたら、大丈夫、というように涼介くんの腕に力がこもり、しっかりと抱いてくれる。

「俺に任せてください」
「は、い」

 上目遣いでチラッと見たら、涼介くんが視線を落として私を見た。そして、安心させるように微笑んでくれる。

 きっと、涼介くんなら大丈夫だよね。処女だからって幻滅したりするような男性(ひと)じゃないよね……。

「あの、あっち……です」

 おずおずと指先で示した方向に、涼介くんがしっかりとした足取りで歩いて行く。私をお姫さま抱っこできるなんて、スリムだと思ったけど、涼介くんは意外と逞しいのかも。

 部屋のドアが開けられ、窓際のベッドにそっと下ろされた。ギシッとベッドが沈んで、カーテン越しに差し込む街灯の薄明かりの中、涼介くんが覆いかぶさるように私の顔の横に両手をつく。

「電気、点けてもいいですか?」
「っ……それは……」

 恥ずかしい。そう答えるより早く涼介くんが言う。
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