恋の後味はとびきり甘く
 一緒に夜を過ごして朝を迎え、こんなふうに彼の寝顔を見るのが好き。信じられないくらい幸せで、わけもなく泣いてしまいそうになるときさえある。

 涼介くんと初めて肌を重ねてから、もう二ヵ月。彼は週に二、三回のペースで、製菓専門学校の授業の後やバイトの後、私の部屋に訪ねてくる。そのまま朝まで過ごすこともあれば、学校の課題があるから、と帰って行くときもある。

 昨日の水曜日はバイトがなかったので、授業が終わってすぐに私の部屋に来てくれた。手料理をごちそうして、食後に紅茶とチョコレートをいただいて、そのまま抱き合って、シャワーを浴びてまた抱き合って……。会えなかったのはほんの数日だったのに、何年も会えなかったかのように肌を重ねるのだ。

 これで一週間とか会えなかったらどうなるんだろう。

『今すぐ鈴音さんを食べたい』

 部屋に来ると、彼はいつもすぐにそう言うのだ。そんな彼にまずは夕食を食べさせるのに、いつもどれだけ苦労するか。

 愛されてるんだなぁ、と思う。彼が私を求めてくれるなら、私も全力でそれに応えたい。

 だって、夢に向かってまっすぐにがんばっている彼の姿に、私はいつも励まされているのだ。涼介くんががんばっているんだから、と思うと、不思議と力が沸いてきて前向きになれる。彼の存在そのものが、私を、モン・トレゾーを支えてくれている。彼も同じように思ってくれてたらいいな。この関係がずっと続きますように。
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