恋の後味はとびきり甘く
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それから二週間後のクリスマス翌日。製菓専門学校が冬休みに入り、涼介くんのバイトが休みだったので、私の部屋で遅いディナーをとった後、ふたりでソファに座って紅茶を飲んでいた。
「チョコレート、食べますか?」
クリスマス用に仕入れたバニラ風味のクリームリキュール入りチョコレートの箱を差し出したが、涼介くんはティーカップを持ってじっと一点を見つめたままだ。
「涼介くん? どうしたの~?」
彼の目の前で手をひらひら振ったら、涼介くんが我に返ったように瞬きをした。
「あ、すみません」
「なにか考えごとですか?」
「あ、チョコレートいただきます」
涼介くんは私の問いには答えず、チョコレートをひと粒取って金色の包み紙を開け、リキュール入りチョコレートを口に入れた。
「あ、うまい。バニラのリキュールとビターチョコの相性がいいですね」
「やっとこっちの世界に帰ってきました?」
いたずらっぽく問いかけたら、涼介くんがバツの悪そうな表情になる。