恋の後味はとびきり甘く
 私はとっさに彼の手首をつかんで頬から引きはがすと、彼に襲いかかるようにキスをした。

「す、鈴音さん?」

 バランスを崩した涼介くんがソファに倒れ込む。その上になりながら、私は彼にキスを続けた。

「鈴音さん、待って、話を……」

 キスを拒もうとする彼の首に両腕を巻きつけ、口づけを深くする。いつも彼がしてくれるように、唇から舌を差し込み、彼の舌と絡める。

 私の背中に、彼の手がためらうようにゆっくりと回され、やがてギュッと抱きしめられた。夢中で貪るようにキスを繰り返し、息が上がって頭が熱くなる。

 きっと彼はその気になったよね。

 彼のシャツを脱がせようと体を浮かせた。その隙を狙ったように、彼が私の両肩を掴んで上体を起こし、今度は私をソファに組み敷く。

「鈴音さんっ……話を……しましょう」

 彼が頬を上気させ、胸を大きく上下させたまま言った。

「話なんて……っ」

 言いかけたとき、熱いものが込み上げてきて、私は両手で顔を覆った。
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