恋の後味はとびきり甘く
 お客さまが途切れたので、パソコンを開いた。過去の注文履歴を確認し、包装紙やリボンなどを注文した。これから繁忙期を迎える準備に熱中していたら、気づけば閉店時間を過ぎていた。

 シャッターを下ろさなきゃ。

 疲れた目を擦って腰高の扉を開け、売り場へと出た。ガラス扉から外に出たら、店の前に涼介くんが立っていて驚いた。

「涼介くん!」

 キャメル色のダッフルコートの前をしっかり合わせ、マフラーに顎をうずめたその姿が、寒そうも寂しそうにも見える。

「驚かせてすみません」

 涼介くんが白い息を吐きながら言った。

「今日は寒かったのに……ずっと外にいたんですか?」

 一週間ぶりに合えてうれしいのに、先週の会話を思い出してしまい、会えたことを素直に喜べない。

「閉店するのを待ってたんです」
「入ってくれたらよかったのに」

 言いながら私は壁のボタンを押してシャッターを下ろし始めた。半分下ろして止めたところで、涼介くんがぽつりと言う。
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