恋の後味はとびきり甘く
咲恵さんの店はモン・トレゾーと同じ六畳くらいの店で、シンプルな白い棚にいろんな種類の紅茶が置かれている。缶入りのもの、箱入りのもの。色も気品のある濃紺からスタイリッシュなベージュまで、容器もさまざまだし、産地も銘柄も多様だ。メインの商品は紅茶だけど、咲恵さんが手作りしたスコーンとビスケット(イギリスではクッキーとは言わないらしい)も片隅で売られている。三十代半ばで柔らかな笑顔が魅力的な咲恵さんは、私と同じ“脱サラ起業家”だけど、ご主人と小学生の息子さんがひとりいるところが違う。
「すぐに閉店作業を終えるから、待っててね」
仕事も家庭も大切にする咲恵さんは、五時半に閉店する。その五分前に訪ねた私が簡単に事情を説明すると、咲恵さんは嫌がるそぶりもなく店の奥の休憩室に通してくれた。言葉通りすぐにレジ締めやら掃除やらを終えて、休憩室に来る。
「小規模で好きなことができたら理想だけど、理想通りにはいかないこともあるよね」
咲恵さんはお薦めの紅茶を出しながら、咲恵さんが起業するときにお世話になったというビジネスコンサルタント事務所を教えてくれた。
薫り高い紅茶をいただき、お礼を言って帰宅すると、私はさっそくそのビジネスコンサルタント事務所に電話して、モン・トレゾーの次の定休日の水曜日に予約を入れた。当日訪ねたそのビジネスコンサルタント事務所の所長は、五十代くらいの古川(ふるかわ)さんという女性で、事情を話すと親身になって相談に乗ってくれた。私が持参した帳簿を吟味し、経営方針などをいろいろ尋ねた後、最善と思われるマーケティング方法をアドバイスしてくれる。
「すぐに閉店作業を終えるから、待っててね」
仕事も家庭も大切にする咲恵さんは、五時半に閉店する。その五分前に訪ねた私が簡単に事情を説明すると、咲恵さんは嫌がるそぶりもなく店の奥の休憩室に通してくれた。言葉通りすぐにレジ締めやら掃除やらを終えて、休憩室に来る。
「小規模で好きなことができたら理想だけど、理想通りにはいかないこともあるよね」
咲恵さんはお薦めの紅茶を出しながら、咲恵さんが起業するときにお世話になったというビジネスコンサルタント事務所を教えてくれた。
薫り高い紅茶をいただき、お礼を言って帰宅すると、私はさっそくそのビジネスコンサルタント事務所に電話して、モン・トレゾーの次の定休日の水曜日に予約を入れた。当日訪ねたそのビジネスコンサルタント事務所の所長は、五十代くらいの古川(ふるかわ)さんという女性で、事情を話すと親身になって相談に乗ってくれた。私が持参した帳簿を吟味し、経営方針などをいろいろ尋ねた後、最善と思われるマーケティング方法をアドバイスしてくれる。