恋の後味はとびきり甘く
「誰かに経営を任せることはできないんですか? すぐではなくて半年後とか一年後とかにベルギーに来てください」
「そんな約束、できない。こんなに経営状態の安定しない店を引き受けてくれる人なんて想像もつかない」
「鈴音さん……っ」
涼介くんの肩が震えているのが、触れ合っている肌から伝わってきた。私は泣いてしまいそうになるのを懸命にこらえて、彼の腰に手をあてた。ぐっと力を入れて、彼から体を引き離す。
「私、涼介くんと四ヵ月近く一緒に過ごして、本当に幸せだった。涼介くんの夢が、幸せが、私の夢でもあるし幸せでもあるの。だから、ベルギーに行ってやるべきことに集中してほしいんです」
「俺に鈴音さんのことを忘れろって言うんですか!?」
涼介くんが叫ぶように言った。その目は赤く充血している。きっと私の目も同じように赤くなっていると思う。でも、遠く離れた場所で違う未来を目指すのなら、きちんと言わなくちゃいけない。
私は大きく深呼吸をした。
「そうです。やるべきことのある今は、忘れてください。そして、いつか……あなたの修業の邪魔にならなくなった頃に……思い出してください。もちろん、新しい恋をしたのなら、永遠に忘れてくれて……かまいません」
「新しい恋なんて……俺には鈴音さんしかいないのに」
「そんな約束、できない。こんなに経営状態の安定しない店を引き受けてくれる人なんて想像もつかない」
「鈴音さん……っ」
涼介くんの肩が震えているのが、触れ合っている肌から伝わってきた。私は泣いてしまいそうになるのを懸命にこらえて、彼の腰に手をあてた。ぐっと力を入れて、彼から体を引き離す。
「私、涼介くんと四ヵ月近く一緒に過ごして、本当に幸せだった。涼介くんの夢が、幸せが、私の夢でもあるし幸せでもあるの。だから、ベルギーに行ってやるべきことに集中してほしいんです」
「俺に鈴音さんのことを忘れろって言うんですか!?」
涼介くんが叫ぶように言った。その目は赤く充血している。きっと私の目も同じように赤くなっていると思う。でも、遠く離れた場所で違う未来を目指すのなら、きちんと言わなくちゃいけない。
私は大きく深呼吸をした。
「そうです。やるべきことのある今は、忘れてください。そして、いつか……あなたの修業の邪魔にならなくなった頃に……思い出してください。もちろん、新しい恋をしたのなら、永遠に忘れてくれて……かまいません」
「新しい恋なんて……俺には鈴音さんしかいないのに」