恋の後味はとびきり甘く
 そもそも、積極的な販売促進活動とか、考えていなかった。本当にいいものを扱えば売れる、なんて、なんて甘いことを考えていたんだろう。経営のノウハウもなく、熱意だけを信じて向こう見ずに飛び込むなんて。

 でも、母と私のモン・トレゾーを潰さないためにも、めげてなんかいられない。

 それに、好きの気持ちで始めても大丈夫なんだということを、あの製菓専門学校生の彼にも教えてあげられるようにがんばらならなくちゃ。

 慣れない作業に四苦八苦しつつ、明け方になってようやくホームページが完成すると、私はそのままパソコンデスクに突っ伏して眠った。 
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