恋の後味はとびきり甘く
コートを取り上げたとき、店のガラス戸がノックされた。振り返ったら古川さんの姿が見えて、彼がドアを少し開けて顔を覗かせる。
「仕事は終わった?」
「あ、はい」
「今日こそは俺へのチョコレート、もらえるよね?」
古川さんが店に入ってきたので、私はカウンターの下から紙袋を取り出した。それを持って彼の方へと近づく。
「遅くなってごめんなさい。所長にも日頃からお世話になっているので、これからお渡ししに行こうと思ってたんです。よかったら事務所の皆さんで召し上がってください」
古川さんは紙袋を受け取ったものの、不満そうに私を見た。
「事務所のみんなとまとめてってのは嫌だな。俺は小谷さんの本命チョコが欲しいって言ったのに」
古川さんが私を見つめながら大きく一歩踏み出した。彼との間に距離がなくなって、私は反射的に後ずさった。背中がショーケースにあたって、それ以上動けなくなる。古川さんが私を囲うようにショーケースに両手をついた。至近距離で見下ろされ、不安で胸がドキリとする。
「ふ、古川さんっ」
「俺なら小谷さんの好きなときに会って、小谷さんの望むことをしてあげられる」
「仕事は終わった?」
「あ、はい」
「今日こそは俺へのチョコレート、もらえるよね?」
古川さんが店に入ってきたので、私はカウンターの下から紙袋を取り出した。それを持って彼の方へと近づく。
「遅くなってごめんなさい。所長にも日頃からお世話になっているので、これからお渡ししに行こうと思ってたんです。よかったら事務所の皆さんで召し上がってください」
古川さんは紙袋を受け取ったものの、不満そうに私を見た。
「事務所のみんなとまとめてってのは嫌だな。俺は小谷さんの本命チョコが欲しいって言ったのに」
古川さんが私を見つめながら大きく一歩踏み出した。彼との間に距離がなくなって、私は反射的に後ずさった。背中がショーケースにあたって、それ以上動けなくなる。古川さんが私を囲うようにショーケースに両手をついた。至近距離で見下ろされ、不安で胸がドキリとする。
「ふ、古川さんっ」
「俺なら小谷さんの好きなときに会って、小谷さんの望むことをしてあげられる」