恋の後味はとびきり甘く
「このトリュフってブルージュでしか買えないと思ってたのに、ここでも売られてるって“食ブログ”で紹介されてるのを見て、買いに来たんですよ」

 “食ブログ”とは、有名な口コミサイトのことだ。今までそういうサイトで紹介されたことはなかった。ということは、最近のお客様の誰かがサイトに書き込んでくれたんだろうか。

「わざわざありがとうございます」

 彼女たちはショーケースを見ながら明るい声で話を続ける。

「ほかのチョコレートもおいしそうだね」
「ねえねえ、なんかこれ、すごく芸術っぽい!」

 ひとりが指差したものを見て、私は口を開く。

「そちらはニューヨークの若手ショコラティエのガナッシュです。チョコレートひと粒ひと粒を小さなキャンパスに見立てて、表面にポップなプリントを施しているんです。今ではニューヨーク以外にもアメリカで数店舗、店を構えていますよ」
「そうなんだぁ」

 彼女たちは、大のチョコレート好きで口コミサイトで紹介されたショップはほとんどチェックしている、と話してくれた。

「見ているだけでも楽しいね」
「でも、やっぱり食べたい!」
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