恋の後味はとびきり甘く
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定休日の次の木曜日、最後のお客様を送り出したのは閉店時間の午後八時直前だった。そろそろ閉めようと店のシャッターを下ろしに外に出たとき、商店街をこちらに向かって早足で歩いてくる男性の姿を見つけた。
それがあの彼だとわかったとたん、鼓動が高くなった。
彼が私に気づいて笑顔になった。彼が一歩近づくたびに、鼓動がドキンドキンと体中に響く。
また来てくれるなんてうれしい。
そう思って気づいた。
彼はただ用事があってこっちに急いで歩いているだけだったら? 目的地はモン・トレゾーじゃなくて、ずっと向こうのカラオケ店とか居酒屋かもしれない。
期待半分、不安半分で立っていると、彼が私の前で足を止めた。少し息が上がって肩を弾ませている。
「すみません、もう閉店ですか?」
その言葉を聞いて、心臓が大きく跳ねた。
うちに来てくれたんだ!
「いいえ! まだ大丈夫です」