恋の後味はとびきり甘く
「どうぞ。紅茶専門店の方はこのままストレートで飲むのがお薦めって言ってましたけど、お好みでこちらのスティックシュガーを使ってくださいね」

 私はカップのひとつを彼の前に置いた。その間に、彼がチョコレートの包装紙を外してフタを開ける。

「こちらもどうぞ」

 そう言って箱をテーブルの真ん中に置いてくれた。

 涼介くんが今日買ってくれたのは、中にフィリングが入ったプラリネと呼ばれるチョコレートだ。

「いただきます」

 彼が言ってティーカップを取り上げた。私もカップを取り上げ、口に含む。この茶葉は飲み口がさっぱりとしたニルギリと呼ばれるもの。咲恵さんのお薦め通り、ホットストレートだと香りもじっくり楽しめる。

 私はカップをソーサーに戻して涼介くんを見た。彼も私を見る。どうしてそんなにまっすぐに見つめてくるんだろう。彼はいつかオーナーショコラティエとして開業することを夢見ているんだろうか。
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